|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍3 成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化に対して術後CCRTを施行した1例
佐藤 達也, 伊藤 郁郎, 片貝 栄樹, 川田 亜公子, 牛久 妙
高崎総合医療センター産婦人科
悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫はまれな悪性卵巣腫瘍であり,進行症例での予後は極めて不良でいまだ有効な治療法が確立されていない.今回我々は手術にて成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化(Stage2c)と診断し,術後追加治療としてCCRT(concurrent chemoradiation therapy)を選択した症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.【症例】49歳 2経妊2経産.下腹部痛を主訴に婦人科を受診.MRI,CT検査で骨盤やや左側に脂肪成分を含む10cm大の腫瘤を認めた.内部にはhair ball様の結節を認め,後腟円蓋から後上方に進展していた.また左右の骨盤リンパ節腫大を認めたが,明らかな遠隔転移は認めなかった.腫瘍マーカーはCEA 40.1,CA19-9 342.5,CA125 87.3,SCC 10.8と高値であった.成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化を疑い,単純子宮全摘,両側付属器切除,左骨盤リンパ節生検を施行した.腫瘍は左骨盤底付近から内腸骨動脈付近,左仙骨腟靭帯付近を中心に直径5cmの残存病変有り.また大網,上腹部に明らかな播種を疑わせる所見は認めなかった.病理所見は左卵巣成熟嚢胞性奇形腫の扁平上皮癌への悪性転化でリンパ節転移は認めなかった.卵巣癌Stage2cと診断し,残存病変があり組織型が扁平上皮癌で遠隔転移がないことを考慮し,術後補助療法としてCCRT(骨盤外照射50Gy:2Gy×25回,CDDP40mg/m2×6回)を施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
321-321, 2010
|