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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
胎児・新生児 羊水補充療法を選択せず経過良好であった,妊娠中期羊水過少の2症例
横田 めぐみ, 落合 大吾, 天方 朋子, 櫻井 友義, 池田 俊之, 矢久保 和美, 福井谷 達郎
さいたま市立病院産婦人科
【緒言】妊娠中期羊水過少は胎児肺低形成や四肢拘縮を起こす可能性があるとされ,慎重な管理が求められる.近年,羊水過少や妊娠中期前期破水症例に対し侵襲的治療法として羊水補充療法を選択し経過良好であった症例報告も散見されるが,この治療法は現時点でエビデンスに乏しい.今回我々は羊水補充療法を選択せず経過良好であった妊娠中期に羊水過少を呈した2症例を経験したので報告する.【症例1】28歳 2経妊2経産.妊娠21週に紹介初診.EFBW217g(−2.9SD),AFP16mmとIUGR・羊水過少を認めた.羊水量は20週台半ばよりAFP30mに自然回復.35週4日NRFSにて帝王切開.児は1476gのsevere IUGRで胎盤重量410g.【症例2】30歳 0経妊0経産 22週2日に当院初診.EFBW277g(1%tile以下)AFP20mmと正常下限.23週2日AFP13mmと羊水過少.27週にAFP35mmと軽快.34週4日NRFSにて帝王切開.児は1342gのsevere IUGRで胎盤重量300g.両児とも肺低形成に伴う呼吸障害や四肢拘縮は認めなかった.【考察】両症例とも妊娠20週台で発生した羊水過少を伴うIGURであった.この時期は羊水産生が母体,胎児血漿由来から胎児尿主体へと切り替わる時期である.本症例ではIUGRのため胎児尿産生が正常児より低下し,同時に胎盤発育不全のため母体血漿由来羊水が減少していた可能性を推定した.妊娠中期のIUGRに伴う羊水過少症例の中には侵襲的な羊水補充療法を選択せず経過観察のみで改善可能な症例があると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
324-324, 2010
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