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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩1 川崎病後に巨大冠状動脈瘤を合併した妊娠の1例
大久保 奈緒1), 山崎 悠紀1), 谷野 静絵1), 飯ヶ濱 悠美1), 樋口 正太郎1), 小野 恭子1), 小原 久典1), 菊地 範彦1), 大平 哲史1), 金井 誠2), 塩沢 丹里1)
信州大学産婦人科1), 信州大学保健学科2)
川崎病は乳幼児に好発する全身の血管炎であり,その後遺症として冠動脈障害を合併することがあるがその合併妊娠の報告例は少なく,その妊娠分娩管理の方法は確立されていない.今回,川崎病後に巨大冠状動脈瘤を合併した妊娠に対し,低用量アスピリンおよび未分画へパリンを使用し,経腟分娩となった症例を経験したので報告する.症例は34歳,1回経産で生後6ヶ月に川崎病に罹患し,発症後より低用量アスピリン療法を継続していた.26歳時の心臓カテーテル検査では左巨大冠動脈瘤および左前下降枝,右冠動脈に狭窄病変を指摘された.心臓超音波検査では心機能に異常は認めなかった.29歳時の第1回妊娠時には低用量アスピリン療法のみ行われ,正常経腟分娩となり合併症は認めなかった.30歳時に挙児希望のため低用量アスピリン療法を中止され34歳時に第2回の妊娠が成立し妊娠7週にて当科初診した.妊娠18週よりアスピリンを再開し,妊娠36週0日まで継続した.妊娠37週0日より未分画へパリンによる抗凝固療法を開始した.陣痛開始後に未分画ヘパリンを中止し,妊娠38週6日に3076gの男児を経腟分娩した.分娩時の出血は235gで,母児共に経過は良好であり分娩後にワルファリンの内服を開始している.本症例では巨大冠動脈瘤を認めており血栓形成や心筋梗塞のリスクが高いと考えられたが,文献的に低用量アスピリン療法のみで心筋梗塞を発症した報告はなく,低用量アスピリン療法および分娩時の未分画ヘパリンによる抗凝固療法のみで妊娠経過中の抗凝固療法の併用はしなかった.しかし妊娠中の抗血栓療法は症例数が少なく,症例の蓄積が望まれる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
325-325, 2010
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