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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩1 切迫早産治療から分娩管理まで良好な経過をとった多発冠動脈狭窄合併妊娠の1例
田代 英史, 中島 義之, 千葉 純子, 草西 多香子, 諸岡 雅子, 都築 陽欧子, 本田 能久, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科
冠動脈狭窄性病変合併妊娠においては,子宮収縮抑制剤・子宮収縮剤の使用や分娩時ストレスなど,虚血性発作発症のリスクが存在する.これまでの冠動脈狭窄性病変合併妊娠の報告は川崎病によるものであるが,今回我々は川崎病の既往のない原因不明の多発冠動脈狭窄合併妊娠で,切迫早産治療から分娩・産褥と良好な転帰をとった症例を経験したので報告する. 症例は31歳,0回経妊0回経産婦.生後6ヶ月にEndocardial fibroelastosisと診断され,小児循環器科にて降圧剤などにて経過観察されていたが,12歳時の冠動脈造影にて多発冠動脈狭窄を認めたため,右冠動脈に経皮的冠動脈形成術を施行された.30歳の心機能検査において,右冠動脈経皮的冠動脈形成術施行部位の再狭窄と左回旋枝および対角枝の高度狭窄を認めたが,前医循環器内科にて妊娠・出産可能と判断されたため,自然妊娠し,当院紹介となった.妊娠中は妊娠前からのメトプロロール,硝酸イソソルビド,ジピリダモール内服投与を継続した.妊娠31週子宮収縮および子宮頸管長短縮を認め,切迫早産と診断され入院し,硫酸マグネシウムにてtocolysisを開始した.妊娠37週,骨盤位であったため,選択帝王切開術施行した.児は2,754g女児Apgar score 1分後8点(5分後9点),新生児には特に異常は認めなかった.術中,子宮マッサージのみでは子宮収縮不良であり,子宮収縮目的のため,オキシトシン低容量持続静注を併用した.術後はニコランジル投与行い,ICUにて経過観察したが,Cardiac eventの合併は認めず,術後7日目に母児とも軽快退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
326-326, 2010
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