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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 子宮収縮抑制剤によりCK上昇を認めた2例
矢崎 淳, 伊藤 理廣, 太田 克人, 栗原 務, 井上 和子, 多胡 佳織
社会保険群馬中央総合病院産婦人科
塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムは子宮収縮の抑制を目的として用いられるが,副作用としてCK上昇を認めることが知られている.今回我々は切迫早産治療目的の塩酸リトドリン投与により,急激なCKの上昇と臨床所見から筋緊張性ジストロフィーの疑われた一例と,塩酸リトドリンと硫酸マグネシウムの投与によるCKの漸増を認めたため帝王切開術により分娩へ至った双胎妊娠の一例を経験したので報告する.一例目は妊娠30週,前前期破水の疑いで近医より母体搬送となった.入院時の検査ではBTBの青変は認められたが,アムテックは陰性であった.経腹エコー検査では羊水過多傾向と児の運動低下を認めていた.腹緊あり入院後より塩酸リトドリンの点滴持続投与を開始した.腹緊改善せず塩酸リトドリンを増量したが,四肢の筋肉痛とCKの急激な上昇を認めたためtocolysisを中止し経腟分娩に至った.児は出生後,自発呼吸が見られず人工呼吸管理となった.妊娠中の羊水過多や急性期を過ぎた後も続く呼吸障害から児の先天性筋ジストロフィーが疑われ,母体は斧様顔貌,手の開排制限から筋緊張性ジストロフィーが疑われた.二例目は双胎妊娠での切迫早産治療目的に妊娠26週より塩酸リトドリン静脈点滴による治療を開始し,妊娠31週より硫酸マグネシウムを併用した.漸増するCK上昇を認めたが,筋肉痛症状など認めずCKの上昇も緩徐であったため児の予後を考え妊娠34週で投与終了し,陣痛発来したため帝王切開術での分娩となった.両児ともにNICU入院となったが,母児ともに後遺症なく経過良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
327-327, 2010
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