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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 当院における近年の子宮筋腫合併妊娠経過中の問題点について
水谷 亜紀子, 鏡 一成, 鈴木 円香, 島村 京子, 亀田 高志, 深石 孝夫
桐生厚生総合病院産婦人科
1980年代から現代に至るまで母体の平均分娩年齢は上昇を続けており2004年には29.9歳に達している.これに伴い子宮筋腫合併妊娠は以前から注目されてきた.今回我々は当院における近年5年間の分娩症例のうち臨床的に問題となった子宮筋腫合併妊娠18例について妊娠経過中及び分娩予後に影響する因子について産科診療ガイドラインに掲載される症状を中心に検討した.【方法】当院における2006年から2010年までの分娩症例のうち子宮筋腫合併妊娠の記録のあるものを抽出した.年齢,産科既往歴,不妊治療歴,筋腫の大きさと個数,位置,筋腫治療歴の有無,分娩方法,筋腫の大きさの変化,他の妊娠合併症,入院歴.分娩時出血量について分析した.特にガイドラインに掲載されている症候として切迫流早産,胎位異常,前置胎盤,常位胎盤早期剥離,羊水量の異常,妊娠高血圧症候群,前期破水,陣痛異常,異常出血,帝王切開について検討した.【結果】2006年から2010年6月までの全分娩3430症例中,臨床的に問題となった子宮筋腫合併妊娠18例は0.5%に相当する.切迫流早産33%,骨盤位5%,羊水過少5%を認めた.帝王切開61%であった.平均出血量1342mlで分娩後22%に弛緩出血がみられた.以上のいずれかの症候のため入院治療を必要としたのは2例であった.全例で正期産健常児を得た.【考察】切迫流早産率,胎位異常率は高く,帝王切開率は61%に達しており,周産期管理はやはり一段と注意が必要と思われた.子宮筋腫合併妊娠管理は分娩年齢の上昇とともに今後さらに重要性を増すだろうと思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
329-329, 2010
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