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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 高血圧と腎機能低下を伴い,高度のIUGRを呈した強皮症合併妊娠の一例
岡崎 有香, 藤木 豊, 関坂 みゆき, 兒玉 理, 櫻井 学, 中村 佳子, 漆川 邦
水戸済生会総合病院産婦人科
【緒言】強皮症は皮膚を含む臓器の繊維化を来たし,血管障害を起こす自己免疫疾患である.その影響は妊娠中にも及び,母体・胎児の生命を危険にさらす可能性もある.今回,高血圧と腎機能障害を伴う強皮症合併妊娠の一例を経験したので報告する.【症例】36歳未産婦.24歳時にレイノー現象,手〜前腕部の皮膚硬化で強皮症を発症,Dペニシラミンの投与を受けていたが進行し,26歳時よりシクロスポリンによる治療となり皮膚硬化は改善傾向となっていた.35歳時に挙児希望のためシクロスポリンを中止したところ指尖部潰瘍が増悪しPSL 20 mgを開始され,減量中に妊娠が成立した.妊娠14週に血圧180/90 mmHgのためαメチルドーパ750 mgが開始された.妊娠25週に管理目的に前医入院,塩酸ヒドララジンを併用するも血圧コントロール不良であり,また血清クレアチニン値の上昇も認め,妊娠25週3日に当院に緊急母体搬送入院した.入院時血圧は148/96 mmHg,クレアチニンクリアランス(CCr)は56 ml/minであった.推定児体重は575gとIUGRを認めた.更にニフェジピンを併用し降圧療法を継続したが,妊娠26週より徐々に血圧上昇,またCCrの低下および尿蛋白の増加を認め,同時期より臍帯動脈拡張期血流の逆流を認めるようになった.妊娠27週1日胎児機能不全を適応に帝王切開とし,590gの女児を分娩した.母体は産褥期も高血圧および腎障害を認め,ACE阻害剤の投与を開始,状態が安定したところで外来管理とした.今回の症例を通し,強皮症合併妊娠中の様々な合併症に対して行った評価および治療について,文献的考察を含めて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
330-330, 2010
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