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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩4 パンデミックインフルエンザA(H1N1)2009・ワクチン接種に妊産婦はどのように対応したか?
古屋 智, 香川 珠紀, 高橋 英彦, 窪谷 潔, 窪谷 健
窪谷産婦人科(千葉県柏市)
【目的】2009年4月にメキシコで報告されたパンデミックインフルエンザA(H1N1)2009ウイルス感染症(以下新型インフルエンザと略す)は世界的に蔓延した.妊産婦や胎児への影響が懸念され,新型インフルエンザワクチン接種が昨年11月ごろより開始された.本研究では,当院通院中の妊婦および当院で分娩に至った妊婦が新型インフルエンザワクチン接種に対してどのように対応したかを検証した.【対象】当院におけるワクチン接種開始日(2009年11月18日)以降2010年6月30日までに分娩に至った985症例および同時期の外来通院妊婦.【結果】985分娩のうち726例(74%)に対して希望によりワクチンが接種された.243例(25%)はワクチン接種を希望しなかった.31例(3.1%)は妊娠中に新型インフルエンザに罹患した.それが直接的原因と考えられる流早産および死産は確認されなかった.ワクチンによる副作用症例はなく,またワクチン接種後の新型インフルエンザ罹患が1例にみられた.外来通院妊婦のべ711人にワクチンが接種された.接種時期と接種人数の関係をみると2009年12月中旬の1週間が81例と最多であり,2010年1月中旬には減少に転じ,4月12日以降の接種希望者は皆無となった.流行拡大当初は正確な医学情報が乏しく,さらにワクチン供給体制の不備なども重なり,ワクチン接種に混乱を来たした.2010年2月に入ってようやく医療者・妊産婦双方は新型インフルエンザワクチン接種に冷静に対応ができるようになった.【考察】妊産婦における新型インフルエンザワクチンへの対応を検証することは,今後の発生が懸念される高病原性インフルエンザ対策を構築するためのよい教訓になると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
333-333, 2010
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