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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩5
早急な対応にて救命し得たと考えられる周産期心筋症の一例


高瀬 健吉, 廣瀬 一浩, 長島 稔, 藤原 礼, 小林 圭子, 森山 修一
木下会千葉西総合病院産婦人科


周産期心筋症は,妊娠後期に原因不明の心不全を発症する症候群であり,その頻度は1300〜10000分娩に1例である.今回早急な対応にて救命し得たと考えられる周産期心筋症の一例を経験したので報告する.患者は29歳,1経産,家族歴・既往歴に特記事項なく,初期・中期の妊娠経過は順調であった.妊娠35週過ぎより労作呼吸苦を訴えるも自己管理していた.35週6日の妊婦健診にて尿蛋白(±),軽度高血圧(126/90),高度な下肢浮腫を認めたため管理入院となった.36週1日に安静時呼吸苦を訴えSpO2が93%と低下,肺塞栓症を疑い心エコーを行ったところEF15%と著明に低下しており,周産期心筋症の診断となった.胸部レントゲンでは肺水腫と心拡大を認め,循環器科にコンサルトし利尿薬の投与を行うも尿流出は不良であった.さらに状態が悪化したため翌日帝王切開を施行,Apgarスコア6/7,2630gの男児を出産した.術後1日目より強心剤,利尿薬,血管拡張剤,抗凝固剤の投与を行い,心拡大および肺水腫は徐々に改善,術後23日目に退院となった.心機能においては一週間後にEF27%まで回復,3カ月後は48%となり,1年後57%まで回復し,内科的管理も終了となった.周産期心筋症は慢性心不全への移行や高い死亡率(2年〜5年のフォローアップにて6%〜23%の死亡)が報告されているが,本疾患においては迅速な診断とコンサルテーション,分娩時期および分娩様式の選択を行い,産前産褥を通じての集約的治療が重要と思われる.また次回妊娠に関しての再発増悪が予想され,十分なインフォームドコンセントが求められる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 335-335, 2010


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