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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩6
特発性の子宮静脈瘤破綻出血により胎児機能不全をきたしたと考えられた1症例


仲谷 傳生, 内田 季之, 乙刀@雅子, 堀越 義正, 大川 直子, 小林 友季子, 中村 友紀, 平井 久也, 鈴木 一有, 杉原 一廣, 伊東 宏晃, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科


症例は25歳,1回経妊,初産婦.既往歴・家族歴に特記すべき事はない.無月経となり某医Aを受診し妊娠と診断され定期的に検診を受けていた.妊娠28週5日に臍部右側に持続する激痛が突然現れ救急車にて某医Aに搬送された.同医にて切迫早産として塩酸リトドリンの持続点滴静注を開始したが,激痛は改善せず,当院へ緊急搬送となった.当院来院時の内診所見は帯下白色,子宮口は1指通ず.臍部右側,子宮体部右側に一致して持続的な圧痛を自覚したが筋性防御や反跳痛は認めなかった.胎盤付着部は圧痛を自覚する領域に位置したが,超音波断層検査状あきらかな胎盤後血腫を疑う所見は認めなかった.Hb 10.1mg/dl,Ht29.5%,PLT 38.4万/μl,Fibrinogen 359mg/mlであった.胎児心拍数モニタリングにおいてnon-reassuring fetal statusであり,全身麻酔導入と同時に直ちに緊急帝王切開を施行した.開腹すると腹腔には合計850gの血液および凝血塊を認めた.子宮下部横切開にて1140gの男児をApgar score 1分後1点,5分後2点,10分後5点で分娩した.娩出した胎盤には肉眼的に特に異常を認めなかった.子宮右側後面,圧痛を自覚した領域に一致して子宮静脈に続く怒張した静脈瘤があり破綻部分から持続する出血が認められた.破綻部分を縫合止血し,他に出血点のないことを確認した後閉腹した.術中総出血量1410g(腹腔内出血850gを含む).術後Hb 6.5mg/dl,Ht19.8%まで低下したが輸血は施行しなかった.児は経過良好にてNICUを退院した.臨床経過より特発性の子宮静脈瘤が破綻出血をきたし,虚血により急性に胎児機能不全をきたした可能性が考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 337-337, 2010


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