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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩6 子宮手術後に妊娠し,切迫子宮破裂・癒着胎盤をきたした一例
笠間 美香, 山地 沙知, 尾本 暁子, 田中 宏一, 井上 万里子, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学産婦人科
【緒言】子宮手術は,妊娠子宮破裂や癒着胎盤の原因となることがある.今回,子宮手術後の妊娠で,切迫子宮破裂・癒着胎盤をきたした一例を経験したので報告する.【症例】33歳3妊0産.29歳時,過多月経があり,A医院で開腹による粘膜下筋腫核出術・腺筋症腫核出術・内膜ポリープ切除術・右卵巣チョコレート嚢胞核出術を受けた.32歳時に不妊を主訴にB医院を受診し,子宮内腔の狭小化が疑われ当科紹介となった.MRI等により,子宮体部筋層の部分欠損および右卵巣チョコレート嚢胞と診断した.妊娠中の子宮破裂や早産のリスクについて十分に説明した上で,B医院での体外受精により妊娠した.妊娠初期より子宮底部筋層の一部に明らかな菲薄化(2mm)を認め,妊娠15週から入院管理とした.妊娠19週より塩酸リトドリン投与を開始した.妊娠27週より,子宮収縮が頻回となり頸管の短縮がみられるようになったため,妊娠28週2日に選択的帝王切開術を施行し,1274g,Aps7/8の女児を娩出した.胎盤は子宮手術創痕と推定される部位に付着しており用手にて剥離できたものの,直後より制御不能な出血があり子宮全摘術となった.術中出血量は6130gで,自己および同種血を輸血した.病理検査では,子宮筋層の高度の菲薄化と癒着胎盤を認めた.児の経過は良好で日齢74日(修正38週6日)に退院した.【考察】本例では,子宮手術が子宮体部筋層の欠損・癒着胎盤の原因と推定された.挙児希望のある患者への子宮手術については,これらのリスクを術前に十分に説明すると共に,正常筋層や内膜に対するダメージを最小限に止める努力が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
338-338, 2010
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