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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩7 辺縁前置胎盤を合併した子宮内胎児死亡症例に対し,子宮鏡を用いて,治療的流産を実施した1例
中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
JA静岡厚生連静岡厚生病院産婦人科
【概要】辺縁前置胎盤を合併した子宮内胎児死亡症例に対し,子宮鏡手術を併用し,治療的流産を経験した症例を経験したので,報告する. 【症例】31歳,1経妊1経産.妊娠16週において子宮内胎児死亡,辺縁前置胎盤と診断.前置胎盤におけるゲメプロスト腟坐剤の投与が禁忌とされているため,頸管拡張後に子宮内容除去術を施行することとした.その際に前置胎盤の確認,主要な栄養血管に対する凝固切開,子宮内腔からの出血に対する止血操作の目的のため,超音波ガイド下に,モノポーラー子宮鏡(ヒステロレゼクトスコープ:オリンパス社)を併用してみたところ,灌流圧により卵膜は自然に剥離され,子宮内容を容易に娩出せしめることができた.娩出後,胎児頚部に3重の臍帯巻絡があることを確認することができ,胎児死亡の原因推定も可能となった.術中出血も少なく,術後も異常なく経過した. 【結論】妊娠中期において,前置胎盤や低置胎盤を認める頻度は,正期産の約10倍であるとされる.そのため,妊娠中期に治療的流産や人工妊娠中絶を実施する際に,胎盤位置異常を認めることは比較的頻度が高く,分娩方針を決定する一つの大きな要因となる.治療的流産に子宮鏡を使用した報告はなく,これらの有用性や安全性については,症例を重ね慎重に検討する必要があるが,本例より妊娠中期に辺縁前置胎盤を認める場合の子宮内容除去術に対して,子宮鏡を使用することは,安全かつ有用な手技となる可能性があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
339-339, 2010
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