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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩7
子宮全摘出術が施行された妊娠中期子宮内胎児死亡における癒着胎盤の1例


若佐谷 敦, 平野 由紀, 大和田 倫孝, 厚木 右介, 石田 洋一, 山田 哲夫, 佐藤 郁夫
国際医療福祉大学病院産婦人科


【はじめに】癒着胎盤は分娩後に診断されることが多く,母体の予後に重大な影響を与える疾患である.今回,妊娠17週の子宮内胎児死亡での死産後に,癒着胎盤と診断した1例を経験したので報告する.【症例】40歳,6G2P(人工中絶2回,自然流産2回,帝王切開2回).当院リプロダクションセンターにてタイミング法で妊娠し,以後当科で管理していた.妊娠7週より性器出血が認められたため,切迫流産の診断でピペリドレート塩酸塩などが処方された.妊娠10週より性器出血は消失したが,妊娠12週より再出血した.妊娠16週で子宮内胎児死亡と診断された.ゲメプロストを投与し,妊娠17週で死胎児が娩出された.胎盤組織は少量のみ娩出された状態であった.胎盤娩出までの出血量は約500mlであった.胎盤娩出後より出血が持続し,1時間後には腟内に多量の凝血塊を認め,超音波断層法で胎盤の遺残が確認された.胎盤鉗子で胎盤の剥離を試みるも困難であり,癒着胎盤の診断で,単純子宮全摘術が実施された(分娩から子宮摘出までの3時間で総出血量は約2000mlであった).術後経過は良好であり,術後5日で退院した.胎盤の病理結果は楔入胎盤で,子宮腔に11×7×2cmの胎盤が強固に癒着しており,脱落膜を介せず胎盤絨毛が筋層に接しており,栄養膜細胞が筋層に侵入していた.絨毛の筋層内侵入はなかった.【結語】癒着胎盤の診断には,病歴に加えて超音波断層法所見,児娩出時およびその後の臨床所見が重要である.妊娠中期であっても分娩後異常出血を認め,癒着胎盤のハイリスク因子がある場合には,より頻回に臨床所見を確認することが早期診断,早期治療につながる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 340-340, 2010


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