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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩8
分娩を契機に後天性血友病を発症した1症例


西島 千絵1), 和田 康菜1), 名古 崇史1), 森川 香子1), 西ヶ谷 順子1), 斉藤 寿一郎1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)


【緒言】後天性血友病は稀な病態であり,死亡率は高く,早期診断かつ適切な治療が必要である.今回我々は,分娩後2カ月に右下腿の皮下出血,APTTの著明な延長より後天性血友病を疑い,診断に至った症例を経験したので報告する.
【症例】38才,1経妊1経産.当院で妊娠初期より妊婦健診を行い,経過は異常を認めなかった.自然破水後に陣発して妊娠40週0日に自然分娩に至った.分娩時の出血量は276gで,分娩後子宮復古は問題なく退院に至った.産褥15日目に出血多量のため外来受診し,内診上,腟内に多量の凝血塊を認め,Hb7.8mg/dlのため入院管理となった.子宮内膜掻爬術を施行し,胎盤と卵膜の遺残を一部に認めた.分娩時の胎盤所見では明らかな欠損は認めていなかった.術後は子宮収縮は良好となり,産褥22日目に退院となった.産褥50日目に右下腿の皮下出血を認め,Plt33.8万/μl,PT13.0%,APTT125.5secと著明にAPTTが延長していたため後天性血友病を疑い,翌日,血液内科に依頼して精査を行った.その結果,第8因子活性1%未満,第8因子インヒビターは40.6BU/mlと高値を示したため,後天性血友病Aと診断した.症状は一時軽快するも右上肢にも皮下出血が出現したために,産褥90日目からプレドニゾロン30mg/dayを開始した.現在,当科と血液内科で外来管理中である.
【結語】後天性血友病は妊娠・分娩を契機に発症することが知られており,明らかな出血性素因を持たない患者が出血症状を呈した場合は,後天性血友病も念頭におき,診断・治療にあたるべきであると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 343-343, 2010


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