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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩8 当院の産婦人科専攻医への鉗子遂娩術指導に関する後方視的検討
佐藤 真之介, 三邊 麻理子, 河原 且実, 井出 早苗, 秦 恵里子, 真井 英臣, 村岡 光恵, 高木 耕一郎
東京女子医科大学東医療センター産婦人科
[はじめに]鉗子・吸引遂娩術の適応と要約は基本的には同じであるが,我が国では吸引遂娩術を行っている施設が多い.米国においても吸引遂娩術が主流となったが,近年,産婦人科専攻医教育において鉗子遂娩術の指導の重要性が見直されている.当院では平成14年以降,後期臨床研修プログラムの到達目標に鉗子遂娩術の習得を掲げてきた.専攻医への鉗子遂娩術の指導が適切に行われてきたかどうかを検討するために,当院において新臨床研修制度発足後の産婦人科専攻医による鉗子遂娩術について後方視的な検討を行った.[対象・成績]平成18年4月から平成22年5月の当院での分娩2966件のうち鉗子分娩は90例(3.0%)で,うち,専攻医が実施した鉗子遂娩術は32例(35.5%)であった.同期間に産婦人科専門医の指導下に鉗子遂娩術の施術を許された専攻医は5名で,1名あたり,平均6.4例の鉗子遂娩術を経験していた.適応の内訳は分娩第2期遷延18例(56.2%),胎児機能不全11例(34.3%),母体因子1例(3.1%),合併症として800 g以上の分娩時出血多量2例(6.2%),第三度会陰裂傷9例(28.1%),腟壁裂傷11例(34.3%)であったが,腟壁血腫や第IV度会陰裂傷,新生児外傷は認めなかった.また,鉗子遂娩不成功例も認めていない.[考察]産婦人科後期研修の課程において専攻医が鉗子遂娩術の指導を受ける機会は研修施設の分娩数,教育方針,研修医数などの影響を受ける.より効率的な鉗子遂娩術の指導には,日頃から視聴覚機材による学習や,分娩シミュレータを用いたトレーニングに加え,産道裂傷の適切な診断と縫合技術の指導が有用であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
344-344, 2010
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