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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
その他悪性腫瘍 当院で経験した腟原発明細胞腺癌の一例
高木 清考, 大塚 伊佐夫, 松浦 拓人, 伊豆田 千夏, 田中 亜由子, 高矢 寿光, 可世木 華子, 羽成 恭子, 江夏 宜嫺, 清水 幸子, 亀田 省吾
亀田メディカルセンター産婦人科
腟原発性剥製腫瘍は婦人科全悪性腫瘍の1−3%を占める稀な腫瘍で,腺癌の頻度はその中の約10%と低い.原発性腟腺癌の発生母地としてadenosis,子宮内膜症,中腎管の遺残が考えられている.腟の明細胞癌は欧米では胎生期にdiethylsillbesterol(DES)製剤の暴露にあった10−20歳代の女性に多発し問題となったが,我々が調べた限り本邦では文献報告は見受けられない.また非暴露例では50歳代以降にみられる.我々は後腟円蓋から発生した明細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は68歳2経妊2経産,閉経50歳,左付属器切除の既往あり.不正性器出血を主訴に当院受診.腟鏡診では後腟円蓋に暗赤色の腫瘤あり,子宮腟部は正常であった.内診所見では子宮は前傾前屈ややや小さめであり,周囲組織への浸潤は否定的であった.腫瘍マーカーはCEA,SCC,CA19-9,CA125は正常範囲内,細胞診はclassIIであったが,組織診にてclear cell adenocarcinomaと診断したMRIにて後腟円蓋に30mm大の腫瘤あり,PETCTにて同部位に異常集積を認めた.リンパ節の異常集積は認めず.CF所見は異常なし.原発性腟癌FIGO進行期分類stageIと診断し,広汎子宮全摘出術,右側付属器切除,骨盤リンパ節廓清術を施行した.術中所見ではS状結腸−直腸が子宮頸部から腟壁にかけて癒着しており,Douglus窩は閉鎖していた.病理結果はclear cell adenocarcinoma pT1N0M0であった.現在外来にて経過観察中である.当症例について文献的考察を含め報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
350-350, 2010
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