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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
婦人科感染症・炎症性疾患 巨大卵巣嚢腫との鑑別が困難であった造腟術後膿瘍の1例
辻 浩介, 片山 素子, 池ノ上 学, 森定 徹, 玉田 裕, 大澤 淑子, 佐藤 博久
国家公務員共済連合会立川病院産婦人科
【はじめに】腟欠損症に対しては人工造腟術が行われているが,今回我々はRokitansky-Kuster-Hauser症候群に対する人工造腟術(Ruge法)施行35年経過後,人工腟腔であるS状結腸に巨大な膿瘍を形成,正常腸管との間に瘻孔を来たし腹膜炎を呈した1例を経験したため,文献的考察を含めて報告する.【症例】62歳女性.27歳時に先天的な腟欠損症に対し他院にてS状結腸を人工腟腔として用いたRuge式造腟術を受けていた.数日間にわたる下腹部膨満感・下腹部痛を主訴に近医を受診.骨盤内に巨大腫瘤を認め,卵巣嚢腫の疑いにて当院を紹介受診.経腹超音波にて下腹部に成人頭大の単房性嚢胞を認め,腹膜刺激症状を伴う著明な圧痛を下腹部全体に認めた.また,血液検査上WBC 12340/μl,CRP 22.30 mg/dlと著明な炎症反応の上昇を認めた.卵巣嚢腫感染を疑い抗菌薬の投与を開始したところ,症状および検査データは著明に改善した.入院4日目の骨盤造影CTでは嚢腫は小児頭大に縮小していたが,嚢腫とS状結腸との穿通・腹膜炎が疑われた.外科転科のうえ緊急開腹手術を行った.開腹所見では嚢腫と思われた腫瘤は腟代用腸管であり,膿瘍を形成し拡張していた.またS状結腸との間に瘻孔を認めた.緊急ハルトマン手術,代用腸管切除術および腹腔内洗浄を行った.経過良好であり,術後21日目に退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
354-354, 2010
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