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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
婦人科感染症・炎症性疾患 急性腹症の原因が卵管捻転であった一例
横道 憲幸1), 大熊 克彰1), 渡部 真梨1), 石塚 文平2)
川崎市立多摩病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学病院産婦人科2)
今回我々は急性腹症の原因が卵管捻転であった稀な一例を経験したので報告する.症例は18歳の大学生で未経妊,主訴は右下腹部痛と嘔気,嘔吐であった.既往歴,家族歴に特記事項なし.現病歴は体育の授業中に突然右下腹部痛が出現し,嘔気や嘔吐もあるため当院内科を受診する.急性虫垂炎が疑われたが内科,外科の診察では否定的で婦人科に紹介受診となった.性交未経験のため経肛門的に超音波検査を施行したところ子宮は正常大で右付属器に60mm大の腫瘤を認めた.左付属器は正常で,腹水貯留は認めなかった.腹部CTでも同様の所見であった.血液検査所見は白血球,LDH,CKが軽度上昇していた以外は異常無かった.卵巣嚢腫の茎捻転を疑い,即日緊急手術を施行した.開腹所見では右卵巣は正常大で右卵管が腫大し時計回りに2回転していた.大部分が壊死に陥っていたため,右卵管切除術を施行した.術後は経過良好であった.術後病理診断は卵管留水症の捻転であった.卵管留水症の捻転は非常にまれであり,10代の卵管捻転の症例報告は過去5年間でも10数例であった.過去の報告例では初発症状としては腹痛が多く,嘔吐を伴うことがあると言われている.原因としては内因性と外因性があげられるが,本症例は内因性の卵管留水症であった.今回我々は特徴的な所見に乏しい急性腹症の原因が卵管捻転であった一例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
354-354, 2010
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