|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 急性腹症を呈した子宮漿膜下筋腫破裂の1症例
高井 浩志, 松下 宏, 宮野 奈緒美, 小川 まどか, 谷 洋彦, 白岩 幹正, 高沢 義信
静岡県立総合病院産婦人科
【緒言】妊娠を契機に子宮筋腫が変性,破裂をきたし,急性腹症を呈する報告は散見されるが,非妊娠時の発症の報告はほとんどない.今回我々は,心窩部違和感を主訴に卵巣腫瘍破裂が疑われ,緊急手術にて子宮漿膜下筋腫破裂と判明した症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.【症例】46歳,4経妊2経産.2009年9月頃より腹部の膨隆を自覚していた.同年11月急に心窩部違和感を認め,軽快しないため急病センターを受診し,同日当院搬送となった.来院時,腹部全体に圧痛を認め,経腟超音波検査にて腹部に多房性腫瘤を認め,ドップラーエコーにて腫瘤の一部より腹腔内へのflowを認めた.CTでは,子宮から連続して左卵巣部分に辺縁不正,壁肥厚を伴う,内部に水様成分と血性成分が混在する13×9.5cmの多房性の腫瘤を認め,腹腔内に著明な腹水貯留も認めることから卵巣腫瘍の破裂が疑われ,緊急開腹術を施行した.腹腔内には大量の血性腹水を認め,子宮は小児頭大に腫大し,子宮後壁に充実性の腫瘤を認めた.単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.病理組織診は,子宮平滑筋腫の嚢胞変性,腺筋症であった.術後経過は良好で,術後10日目に退院となった.【考察】女性の急性腹症において,子宮筋腫の破裂の症例は極めてまれである.しかしながら,画像検査によって腹水を伴う骨盤内腫瘍を認めた場合,進行した卵巣がん,子宮体がん,子宮肉腫といった悪性腫瘍をはじめ,卵巣線維腫,子宮筋腫などの破裂といった様々な可能性を考慮した上で,手術に臨むことの重要性を再認識した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
355-355, 2010
|