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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 後腹膜リンパ節領域に多発・進展したleiomyomatosisの1例
鈴木 義也, 三橋 暁, 生水 真紀夫
千葉大学医学部附属病院産婦人科
【緒言】組織学的に良性の平滑筋腫が全身に多発する病態をleiomyomatosisといい,腹腔内播種や血管内進展例の報告が多い.いずれも子宮筋腫手術の既往を有する.今回,われわれは骨盤〜傍大動脈リンパ節領域の後腹膜腔に多発・進展したleiomyomatosisの症例を経験したので報告する.【症例】28歳未経産婦.7年前に前壁の筋層内筋腫(10cm)の核出術を受けた.今回,子宮筋腫の再発として当院に紹介された.CT/MRIでは,子宮筋層内に小腫瘤が多発して骨盤腔を占拠する充実性腫瘤(14cm大)と,両側後腹膜腔に小腫瘤の多発が認められた.開腹したところ,子宮に多発腫瘤を,腎静脈下までの後腹膜リンパ節領域に小腫瘤を多数認めた.平滑筋肉腫のリンパ節転移を疑ったが,傍大動脈リンパ節領域の腫瘤摘出は容易で,その割面像から良性の平滑筋腫の可能性が考えられた.妊孕性温存の希望もあったことから,病理学的診断の確定後に根本手術を施行する方針となり,子宮腫瘍の生検と傍大動脈リンパ節領域の腫瘍摘出のみ施行して閉腹した.病理検査では良性の平滑筋腫と診断された.本症例は,leiomyomatosisの病態と考えられた.術後現在まで2年間,GnRH agonistで管理をしている.最近患者は結婚し妊娠を希望しており,手術(骨盤リンパ節領域の腫瘍摘出+筋腫核出)を試みる予定である.【考察】本例のようなリンパ節領域に多発・進展したleiomyomatosisの報告は少なく,その発生機序は不明である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
356-356, 2010
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