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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
子宮筋腫
深部静脈血栓症を合併した巨大子宮筋腫の一例


小泉 朱里, 上山 和也, 平山 貴士, 御木 多美登, 中原 万里子, 今野 秀洋, 矢田 昌太郎, 窪 麻由美, 白井 洋平, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科


緒言 深部静脈血栓症(以下DVT)は周術期のリスクファクターとして注目されているが,今回,左下肢DVTの発症を契機に発見された巨大子宮筋腫の症例を経験したので報告する.症例 40歳,3回経妊1回経産.平成22年1月より腹部膨隆,左下肢浮腫,左下肢痛出現し近医受診.子宮筋腫,左下肢DVTが疑われたため当院紹介受診.腹部に超成人頭大の子宮筋腫と思われる腫瘤と左下肢に著明な浮腫を認め,血液検査上Dダイマー10.8μg/mlと高値を示した.骨盤MRI検査上,子宮体部に直径25cm大の子宮筋腫を認めた.骨盤下肢X線CT検査上,左総腸骨静脈からヒラメ静脈にかけての血栓と,筋腫による腎静脈直下までの下大静脈〜総腸骨静脈の圧排が確認された.胸部X線CT検査上肺血栓塞栓(以下PE)は認めなかった.下大静脈フィルターは子宮筋腫による下大静脈の圧迫のため留置適応外であった.未分画ヘパリンの持続投与と弾性ストッキング着用開始し,18日経過した時点で新たな血栓やPEの発症がないことを確認したので,麻酔科厳重管理の下,腹式単純子宮全摘術及び両側付属器切除術を施行した.術後は3時間後より未分画ヘパリン投与を再開した.術後経過中にDVTの増悪やPEの発症はなかった.その後,ワーファリン内服に変更し無事退院となった.結語 今回,下大静脈フィルター留置が不可能であったDVTに対し抗凝固療法を行い,周術期のPE発症を予防することができた.巨大子宮筋腫は骨盤内血管の圧迫により下肢の血流障害を引き起こし,DVTの潜在的危険因子となりうるため,十分な術前評価と適切な周術期管理を行うことが重要と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 357-357, 2010


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