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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
子宮腺筋症 嚢胞性子宮腺筋症の一例
牧田 千恵, 橋本 和法, 中島 宏美, 蔵本 吾郎, 中野 千枝, 春名 由美子, 吉形 玲美, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
子宮体部に発生する嚢胞性病変の頻度は,全子宮腫瘍の0.35%にすぎないとされている.一方子宮腺筋症は,病変部がびまん性に増殖する例がほとんどで,嚢胞性病変を呈するのは稀であり,また若年者における発症も稀である.今回我々は,若年者で下腹部痛を主訴に来院し,術前のMRI所見から嚢胞性子宮腺筋症を疑い,開腹により病巣を切除した症例を経験したので報告する.症例は18歳(高校生)0経妊0経産で既往歴,家族歴に特記事項はない.2010年1月31日より下腹部痛が出し,2月1日当院婦人科外来を受診.その際行われた超音波検査で液状変性を伴う筋腫,あるいは卵巣嚢腫が疑われたためMRIを施行した.その結果,子宮奇形の疑いで同日入院したが,鎮痛剤および前医より処方された中用量ピル内服により症状は軽減,受験期間中であったため一旦退院し,同年3月31日手術目的のため再度入院となった.術前診断は,MRIにおいて子宮内腔の形状や子宮底部の陥凹が見られないことから子宮奇形の可能性は低く,嚢胞性子宮腺筋症とした.病理診断の結果でも嚢胞性子宮腺筋症と診断された.術後の経過は良好で,内診時の疼痛もなく,術後9日で退院となり,後療法としてGnRH療法施行中である.今後の問題点としては,再発の有無や妊孕性の面から治療法の検討(開腹手術あるいは腹腔鏡手術,術後後療法の必要性など)が必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
357-357, 2010
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