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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
子宮腺筋症
大量性器出血に対して子宮動脈塞栓術が有効であった頸管腺型腺筋症の1例


古賀 千悠, 井上 知子, 佐久川 直子, 長谷川 亜希子, 山口 俊一, 高本 真弥, 山口 隆, 東梅 久子, 横尾 郁子, 北川 浩明
虎の門病院産婦人科


【緒言】子宮動脈塞栓術(UAE)は主に子宮体部からの出血管理を目的に行われているが,性器出血を来たす頸部腫瘍に対しても有用性が報告されている.また,子宮頸部腫瘍では治療方針決定のために術前に良性,悪性の鑑別を行うことが重要である.今回我々は性器出血にて来院し,精査を行うとともに止血を目的としてUAEを施行し,手術を行った頸管腺型腺筋症の1例を経験したので報告する.【症例】41歳.1回経妊1回経産.12年前に当院で子宮筋腫核出術を受け,その後の経過観察中に,6年前より子宮頸部嚢胞性病変を指摘されていた.今回,月経5日目に出血の増量を主訴に当院を受診.経腟超音波検査では6cm大の嚢胞性病変を認めたが,来院当初は機能性出血と考えEP合剤を投与した.出血を繰り返すため精査を行い,子宮頸部,頸管,内膜細胞診で悪性所見なし,MRIで子宮頸部に一部造影効果のある嚢胞性病変を認め,同部位からの出血が疑われた.悪性腫瘍の可能性も否定できないため,腫瘍針生検を行った.大量の性器出血が持続するためUAEを施行したところ,性器出血は著明に減少した.入院時からUAE施行後までの総出血量は約3400ml,赤濃液10U,新鮮凍結血漿2Uを輸血した.生検では筋組織との診断であり悪性所見を認めなかったことから,術式を子宮全摘術と決定しUAE後5日目に実施,病理組織診断は頸管腺型腺筋症であった.術後経過良好にて軽快退院した.【考察】大量性器出血を来たす場合には迅速な対応が不可欠となる一方,子宮頸部病変に対し術式決定のために良性,悪性の鑑別が必要となる.術前および術中の出血管理にUAEが有用であることが示唆された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 359-359, 2010


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