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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
腹腔鏡下手術 腹腔鏡下手術を行った生体肝移植後の子宮内膜異型増殖症の1例
越智 寛幸1), 中村 優子1), 越智 有美2), 漆川 邦3), 小貫 麻美子1), 岡田 智志1), 水口 剛雄1), 松本 光司1), 佐藤 豊実1), 沖 明典1), 吉川 裕之1)
筑波大学産婦人科1), 筑波麓仁会筑波学園病院産婦人科2), 水戸済生会総合病院産婦人科3)
原発性胆汁性肝硬変(PBC)への生体肝移植後,大量性器出血がきっかけで子宮内膜異型増殖症(AEH)と診断された1例を経験した.移植術後の患者は,免疫抑制剤の使用により悪性腫瘍の発生率が高いことが知られているが,子宮体癌の前癌病変となりうるAEHとの関連は明らかではない.肝移植後にAEHが発生した例は,文献検索した限り見当たらないため,治療経過を報告する.症例は51歳,2回経産婦.33歳でPBCと診断され,ウルソデオキシコール酸,プレドニゾロン等を内服していた.46歳より腹水貯留が出現.T-bil値の上昇が著名で48歳で長男をドナーにした生体肝移植を行い,タクロリムスとメチルプレドニゾロンの内服を開始した.200X年6月に大量性器出血を主訴として,当科を初診.顔面蒼白でHb7.0 g/dl(正球性),血圧84/52mmHgとpre-shock状態であった.EPホルモンデポー筋注で止血したが,Hb5.9 g/dlまで低下.鉄剤点滴で貧血は改善傾向がみられたが,再度性器出血が増加したため子宮内膜全面掻爬を行った.病理診断の結果AEHと診断し,全身麻酔下に全腹腔鏡下子宮全摘+両側付属器摘出術を施行した.周術期はタクロリムスの内服は継続し,ステロイドカバーを行った.肝移植後であったが下腹部に癒着はなく,術中・術後経過ともに良好で,肝機能の異常はみられず術後6日目に退院した.病態は異なるが,腎移植後に子宮内膜増殖症の発生頻度が高いとの報告があることから,肝移植後患者においても子宮内膜病変の出現頻度について検討する必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
360-360, 2010
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