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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
腹腔鏡下手術 当科における過去5年間の腹腔鏡下手術に伴う合併症の検討
宮下 真理子, 原田 美由紀, 藤本 晃久, 大須賀 穣, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
【目的】腹腔鏡下手術は開腹手術に比して低侵襲,入院期間の短縮など多くの利点があるが,視野の確保や術者の感覚など開腹手術と異なる点も多く,腹腔鏡手術に特有の合併症も存在する.したがって自施設における偶発合併症の頻度を把握し,それに基づき術前に十分なインフォームドコンセントを行うことが必要である.そこで当科における過去5年間での腹腔鏡下手術に伴う偶発合併症について検討した.【方法】当科で2005年から2009年までの過去5年間に行った腹腔鏡下手術の偶発合併症を後方視的に検討した.【結果】当科において過去5年間に行った腹腔鏡下手術の総数は1662例であった.主な内訳は子宮付属器腫瘍手術1090例,腹腔鏡(補助)下子宮筋腫核出術402例,腹腔鏡(補助)下子宮全摘術181例であった.偶発合併症の総数は13例(0.78%)であった.術中偶発合併症は7例であり,5例で開腹による修復を必要とした.その内訳は腸管損傷3例,膀胱損傷2例,尿管損傷2例であった.腸管,膀胱損傷に関して各々1例は強固な癒着を伴っていたが,その他の症例では伴っていなかった.他臓器損傷に関して子宮全摘術で4例認め,他術式に対して有意に高かった.また,術後合併症は6例であり,後腹膜血腫感染3例,気胸2例,イレウス1例であった.【結論】いかなる症例においても偶発合併症が起こりうることがわかった.また,腹腔鏡(補助)下子宮全摘術はなかでも通常高度な技術を要するが合併症の頻度が高いことがわかった.腹腔鏡下手術を行うにあたり,個々の合併症を検討し,再発防止に取り組むことが重要であり,腹腔鏡下手術が困難と考えられる症例では躊躇せず開腹術に移行することも必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
361-361, 2010
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