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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
婦人科その他
中期中絶後に発症した過大着床部の一例


小林 翠, 佐藤 茉弥, 竹中 慎, 西 健, 安藤 智, 板垣 智明, 満川 元一
水戸赤十字病院産婦人科


絨毛性疾患は胎盤を構成する栄養膜細胞を発生母地とする疾患で,過大着床部はその中の一つに分類される.着床部における中間型栄養細胞の過剰な非腫瘍性増殖で,正常妊娠,流産あるいは胞状奇胎の後に発症する.今回われわれは14週で人工妊娠中絶後の過大着床部の症例を経験した.症例は32歳の6経妊2経産で,中絶時に肉眼上悪性疑う所見認めなかったため病理確認を施行しなかったが,その後性器出血が持続し,エコー,MRIで子宮前壁に侵入する4cm大のhyper vascularな腫瘤を認めた.CT上明らかな転移はなく,侵入奇胎等の絨毛性疾患を考慮したものの,hCGが10mIU/ml前後と低値であったため,PSTTや過大着床部の可能性を考え子宮摘出をした結果,病理にて過大着床部の診断に至った.過大着床部は病理学的には良性であり,子宮内容除去術後軽快するといわれているが,placental site trophoblastic tumor(以下PSTT)との鑑別が嫡出子宮の病理学的検査を行わないと困難である.PSTTの10-15%は悪性の経過をたどるため,挙児の希望がなければ鑑別のために子宮摘出が望ましい.挙児の希望がある場合は出血のリスクを説明した上での子宮内容除去術と,その後hCGの経過を追う必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 364-364, 2010


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