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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
不妊・更年期 Polycystic ovary syndrome(PCOS)に対しlaparoscopic ovarian drilling(LOD)を施行した50例の有効性の検討
村上 圭祐, 熊切 順, 地主 誠, 松岡 正造, 菊池 盤, 北出 真理, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】Polycystic ovary syndrome(PCOS)は,その罹患率が生殖年齢女性の5〜8%と高い.PCOSに対する内科的治療は,インスリン抵抗性を認める場合にはメトホルミン療法を行い,clomiphen citrate(CC)による排卵誘発を行うことが一般的である.一方,外科的治療は開腹下卵巣楔状切除が古くから行われてきたが,近年ではより低侵襲な腹腔鏡下卵巣多孔術(Laparoscopic ovarian drilling:LOD)が行われるようになってきた.今回我々はCC抵抗性を示したPCOS 50例に対するLODの有効性について検討した. 【方法】1995年1月から2008年8月までに当院でCC抵抗性を示したPCOS 50例を対象とした.全身麻酔下に,細型スコープ,針状モノポーラーを用いて卵巣表層のantral follicleを,片側の卵巣あたり約50箇所穿刺した(50W,切開モード).術前後の性腺刺激ホルモン値,男性ホルモン値の推移,術後の自然排卵率と妊娠率について検討した. 【結果】LOD前の血中LH値は13.5±7.4mIU/mlであったが,術後は8.4±5.5 mIU/mlと有意に低下した.血中テストステロン,フリーテストステロン,アンドロステンジオンのいずれもLOD前後で有意に低下した.40例(80%)にLOD後自然排卵を認め,CC投与により全例で排卵した.また,27例(54%)に妊娠が成立した(自然排卵のみ8例,CCを含む追加療法施行16例,顕微授精2例,体外受精1例). 【結論】CC抵抗性のPCOSには,gonadotropin療法が考慮されるが,卵巣過剰刺激症候群や多胎のリスクが高く治療に苦慮することが多い.今回の検討で,LOD施行前後で排卵率,妊娠率,ホルモン値ともに有意に改善を認めた.LODはCC抵抗性のPCOSに対する不妊治療として有用であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
367-367, 2010
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