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<< 学会誌へ戻る 【緒言】帝王切開瘢痕部妊娠（Cesarean Scar Pregnancy，以下CSP）の頻度は全妊娠の1/2000〜3000，帝王切開既往の0.15%と稀ではあるが，近年の帝王切開施行数の上昇に伴いCSPの症例も増加している．その治療法は薬物療法から手術療法まで多岐にわたる．今回，妊娠6週でCSPと診断し，患者へのインフォームド・コンセントの上子宮全摘の方針となり，妊娠7週で開腹した際，子宮破裂の所見を呈していた症例を経験したので報告する．【症例】39才．既往歴は虫垂炎切除術．5経妊2経産で3回の自然流産歴，2回の帝王切開歴（2回とも骨盤位による）あり．最終月経より妊娠6週0日，妊娠を主訴に当科初診した．経腟超音波で帝王切開創の筋層が菲薄し，同部位に胎嚢が存在したためCSPを疑った．胎児心拍陽性．腹部所見なし．翌々日の再診でも同様の所見であったため，コンサルト目的に高次医療施設へ受診とした．MRIでもCSPの所見であった．患者に何通りかの治療法のメリット・デメリットを示し，子宮全摘の方針となった．妊娠7週0日，当科で子宮全摘を施行した．開腹すると血性腹水を認め，膀胱を子宮から剥離すると直ちに絨毛と胎児及び凝血塊が突出した．子宮破裂であった．手術は予定通り終了した．術中出血量は580g．術後経過は問題なし．妊娠成分の遺残がないか，hCGでフォローしている．【考察】CSPの治療は，子宮温存か子宮摘出かの2つに分けられる．最近の症例報告ではメソトレキセートを使用して子宮温存を図るケースが多く，CSP治療後の妊娠で生児を得たという報告もみられる．しかし，本症例のように妊娠6〜7週で子宮破裂する場合もあり，子宮温存及び妊孕性を図るならば熟慮が必要と思われた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 369-369, 2010 |
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