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【症例報告】
子宮留血腫を繰り返す子宮頸管閉鎖に低用量ピル連続内服が有効であった一症例
岡垣 竜吾, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
今回我々は腟欠損症に対する造腟術後に子宮頸管閉鎖による留血腫形成を繰り返した一症例を経験した.症例は13歳女性,初経未.既往歴,家族歴に特記すべきことなし.月に3日間程度の下腹痛を訴え近医受診,腟欠損症を疑われ,当院紹介となった.初診時所見として,腟は完全に欠損し,子宮体部に径3 cm,その下方に径6 cmの留血腫を認めた.機能性の子宮と卵巣を有する腟欠損症と診断,造腟術を施行した.術中に子宮頸管の閉鎖を認めたため,開腹し子宮底を切開,内腔側よりゾンデを通し頸管を拡張した.術後プロテーゼ留置により腟は保たれ,上皮化も良好であったが,術後53日目に腹痛訴え来院.子宮頸管の閉鎖と子宮留血腫の再形成を認め,腟式に頸管拡張を要した.以後も血腫の再貯留を反復,術後21か月で開腹し頸管再開通術を施行するも,1か月後には血腫再発し,治療に苦慮することとなった.術後24か月より低用量ピルの連続内服を開始したところ,内服開始3か月後より血腫は縮小し,子宮内膜は薄くなり,腹痛の訴えもなくなった.現在低用量ピルを13か月連続内服し,特に訴えなく経過している.子宮頸管の閉鎖は稀な先天性の発生異常であり,頸管の開通術後,頸管再狭窄または閉鎖による留血腫や感染合併のために子宮全摘となる例が多い.妊孕性の維持のためには,低用量ピルの連続内服法が有用な場合があると考えられる.
Key words:uterine cervical atresia, oral contraceptive pill
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4)
405-409, 2010
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