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【症例報告】
診断に苦慮した虫垂粘液性嚢胞腺癌の卵巣転移の1例


加藤 沙絵, 最上 多恵, 宇佐美 友希, 倉澤 健太郎, 平吹 知雄, 白須 和裕
小田原市立病院産婦人科


 転移性卵巣腫瘍は全悪性卵巣腫瘍の10〜30%と比較的多い疾患である.一方,虫垂癌は稀な疾患であるが,卵巣に転移した場合は,術前の症状や検査所見,組織学的特徴が原発性卵巣腫瘍と酷似しており,その診断は容易ではない.今回我々は,診断に苦慮した虫垂癌転移性卵巣腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は54歳未経妊婦人,腹部膨満感を主訴に受診.25×20×11 cmの腹腔内多房性腫瘍を認め,腫瘍マーカーはCA125 525.1 U/ml,CEA 285.5 ng/mlと上昇.術前に注腸造影検査やCT撮影で原発巣となりうる消化器疾患を検索したが同定されず,婦人科で卵巣腫瘍として開腹術を行った.術中迅速診断で腺癌であったため,腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術,骨盤リンパ節郭清術を行い,改めて腹腔内を検索したところ,虫垂漿膜面に約1 cm大の粘液性腫瘍を認めたため,虫垂切除術も行った.病理組織学的検索では,卵巣腫瘍は中分化型乳頭管状腺癌,虫垂腫瘍は粘液性嚢胞腺癌の像を呈していた.ともに免疫組織染色ではCEA(+)だった.虫垂粘膜固有層を被覆する腫瘍細胞があり筋層内から漿膜下へと浸潤していたことから,虫垂原発癌の卵巣転移と診断し,消化器外科で現在TS-1(テガフル・ギメラシル・オテラシルK)療法を施行中,術後1年1か月間明らかな再発所見なく経過している.

Key words:metastatic ovarian tumor, appendiceal carcinoma, mucinous adenocarcinoma of the ovary

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4) 411-416, 2010


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