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【症例報告】
術前に卵巣癌との鑑別が困難であった虫垂癌の2例


桑原 真理子, 小林 陽一, 西ヶ谷 順子, 吉岡 範人, 大原 樹, 鈴木 直, 木口 一成, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科


 原発性虫垂癌は非常に稀な疾患であり,術前に婦人科疾患として開腹され術中に判断されることも多い.今回我々は術前に卵巣癌との鑑別が困難であった原発性虫垂癌の2例を経験したので報告する.症例1は46歳,0経妊0経産.約1か月前から発熱,嘔気,嘔吐,下腹部痛を認めたため当院を受診,MRI上,両側内膜症性嚢胞が疑われたが悪性も否定できず開腹術施行.迅速病理検査にて虫垂は腺癌と診断され,両側付属器切除+回盲部腫瘍摘出術+所属リンパ節郭清を施行,術後病理にて虫垂は中分化型腺癌,右卵巣は子宮内膜症性嚢胞と診断された.症例2は55歳,2経妊2経産.半年前より下腹部痛と微熱を認め当院受診,MRIで右卵巣癌の虫垂浸潤が疑われたため開腹術を施行.開腹時,腹腔内癒着が高度で肉眼的に虫垂の確認はできず,単純子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除術+骨盤内リンパ節生検+回盲部切除術を施行した.術後病理診断で虫垂は中分化型腺癌,右卵巣は子宮内膜症性嚢胞と診断された.術前に卵巣腫瘍を認めた場合,卵巣嚢腫茎捻転や破裂が否定され,かつ炎症反応高値の場合には虫垂癌の存在も考慮すべきであると思われた.

Key words:cancer of the appendix, ovarian cancer, CRP, CEA, diagnosis

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4) 437-441, 2010


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