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【原著】
当院における妊婦健康診査未受診症例の後方視的検討
杉山 重里, 落合 大吾, 横田 めぐみ, 天方 朋子, 櫻井 友義, 池田 俊之, 矢久保 和美, 福井谷 達郎
さいたま市立病院産婦人科
【目的】未受診妊婦の診療は医療的にハイリスクである上,社会的背景からも対応に苦慮することがあり問題となっている.当院における未受診症例について検討した. 【方法】2001年10月から2009年12月まで当院にて診療した,分娩時初診および28週以後初診または健診受診3回以下で分娩に至った妊産婦67例(双胎2例)につき後方視的に検討した. 【成績】母体年齢は16歳から44歳(平均31.1歳)であった.初産婦は18例(26.9%)であり10代の若年妊婦9例は全て初産婦であった.また3回以上の多経産婦は19例(28.4%)であった.自宅や救急車内など院外出生は16例(23.9%)であり,うち1例は来院時新生児死亡が確認された.母体合併症は24例(35.8%)に認め,妊娠高血圧症候群,子癇発作,常位胎盤早期剥離,全前置胎盤出血などが含まれた.正常出生体重児は44例(62.0%)に過ぎず6例(9.0%)は極低出生体重児であった.また4,915 gの超巨大児が1例存在した.34例(49.3%)がNICU管理を要し,Fallot四徴症,CCAMなどの重症合併症も認められた.32例(47.8%)は分娩費が未払いで総額は10,225,630円に上った. 【結論】妊婦健診未受診妊婦はハイリスクであり,啓蒙活動や経済的支援による受診促進が望まれるが,医療者・行政ともに継続的な取り組みが必要である.
Key words:prenatal care, perinatal outcome
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 48(1)
11-16, 2011
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