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【症例報告】
帝王切開による児娩出の際に,臍帯血管損傷を来たした前置血管の1例


中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
JA静岡厚生連静岡厚生病院産婦人科


 (目的)分娩前に前置血管と診断した症例に対し帝王切開を施行した際に,臍帯血管からの失血による新生児貧血を来した症例を経験した.自験例を通して,前置血管の臍帯血管損傷や新生児貧血を起こさないための児娩出時の方策について検討した.(症例)25歳,1経妊1経産.妊娠24週6日に切迫早産と診断し,入院管理とした.入院時の経腟超音波断層検査にて,低置胎盤,前置血管の疑いと診断.妊娠27週5日,骨盤MRI検査を実施し,前置血管と診断した.経過観察中に,頻回の子宮収縮により妊娠継続が困難となり,腰椎麻酔下に緊急帝王切開を施行.妊娠29週3日,児は1,661 gの男児でApgar scoreは1分値3点,5分値4点.出生後,児は低血圧の状態であり,新生児貧血(Hb 10.6 g/dl)を認めたため,輸血治療を実施した.その後の経過は順調で,日齢70に退院となった.なお胎盤所見から子宮筋層切開した際に,前置血管を損傷した所見を認めた.(結論)前置血管症例は児の周産期死亡率が高いことが知られ,分娩前診断の有無により出生児の予後が左右される.分娩方針は帝王切開が選択されるが,児の娩出時には卵膜上の血管走行部を切らない配慮が重要である.しかし,前壁付着の前置胎盤と同様に経胎盤的アプローチによる帝王切開を選択しても,胎盤切開時に臍帯血管を損傷し,新生児貧血を起こすことがある.小辻術式などの導入を含めた症例の集積,さらに新生児貧血の予防法について,小児科医と協議することが必要であろうと考えられた.

Key words:Vasa Previa, Cesarean Delivery, Neonatal Anemia

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 48(1) 29-34, 2011


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