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<< 学会誌へ戻る 肺高血圧症は確定診断後の平均生存期間は2〜3年とされ，妊娠中に発症した場合の母体死亡率は30〜50％であることから，人工妊娠中絶の適応になることが多い疾患である．今回我々は胸部症状を契機に選択的帝王切開術を施行し，母子ともに良好な予後を得た肺高血圧症合併妊娠を経験したので報告する．症例は38歳1経妊1経産．他院で肺高血圧症を管理されていた．妊娠26週6日，肺高血圧症増悪あり緊急入院となった．安静にて症状安定していたが，妊娠30週0日，約1分間の心室性頻拍を認め，胸部圧迫感を自覚したことから妊娠30週4日で選択的帝王切開術を施行した．肺高血圧症合併妊娠では，妊娠32週前後に循環血漿量が最大となるため心機能の悪化を認めることが多い．本症例は各種検査で心機能を経時的に観察したが，自覚症状や理学的所見を優先し，産後の症状増悪や児の発育を考慮した上で分娩の時期を決定した．母体死亡率の高い心疾患合併妊娠では，循環器内科，麻酔科，小児科との連携を図りながら安全な周産期管理が望まれる．さらに重篤な心疾患をもつ女性は妊娠前に妊娠によるリスクを十分に理解していただくために，思春期および妊娠前カウンセリングが重要である． Key words：pregnancy, pulmonary hypertension, heart failure 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 48(1) 75-80, 2011 |
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