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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【シンポジウム】
ホルモン補充療法(HRT)


尾林 聡
東京医科歯科大学大学院生殖機能協関学


 ホルモン補充療法のなかには,本来のエストロゲンを単独投与するET療法と,内膜癌発症予防のための黄体ホルモンを併用するEPT療法があり,さらに薬剤の投与法としては,内服,貼付,腟坐薬などが現在使用可能である.またエストロゲン剤に関しても,CEE(conjugated equine estrogen),17B-E2(estradiol),estriol(E3)などが利用可能であり,これらの多種多様な選択肢の中から,その適応や対象,薬剤の組み合わせ・投与経路などに関しての,HRTに対しての基礎と臨床からのエビデンスが今日まで蓄積され,広く利用されている. 一方,2002年,米国女性1万6千人を対象としたWHI(Women's Health Initiative)試験が中断されたことによって,それまで加速度を維持していた世界的なHRTの治療の広がりが大きく減速した.これはHRTに冠動脈疾患の一次予防効果があると期待されていたが,5年余の追跡調査の結果,冠動脈疾患がむしろ増加傾向になったほか,乳癌が1.26倍,脳卒中も1.41倍,血栓症も2.13倍にそれぞれ発症率が増加したと報告されたことが原因である.しかしながら有意な差といえども乳癌の発症は1万人当たりプラセボ群30人が,38人へ増加したという結果であり,さらにWHIの参加者の平均年齢が63歳と高齢であったという問題点も指摘され,そののちのサブ解析に基づいた報告が現在も行われている. HRTの有害事象のひとつと考えられている乳癌に関する報告では,2009年に刊行された「HRTガイドライン」ではEPT療法によって21-40%程度浸潤性乳癌のリスクは増加するが,その程度は遅発閉経婦人のリスクと同程度であり,また乳癌による死亡率には変化がなく,一方ET療法では有意な乳癌の増加は認めていないと記された.しかしその後にはホルモン剤の投与経路に関する成績の比較が多く報告されており,英国のcase-control studyでは経口剤で上昇する乳癌リスクが貼付剤ではほぼ消失すること,また別の報告でも経口HRTの施行期間に比例して上昇する乳癌リスクが,経皮剤では抑制されるといった情報が発信され,今も蓄積されつつある. このように変遷するHRTの副作用予防の実際について,当科更年期外来の成績も紹介しながら概説する予定である.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 161-161, 2011


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