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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
マイクロ波を用いた子宮内膜凝固術MEA(Microwave Endometrial Ablation)を施行した65例の臨床的検討
石寺 由美1), 吉田 浩1), 佐藤 玲南1), 渡辺 英樹1), 香川 愛子1), 北川 雅一1), 片山 佳代1), 村瀬 真理子1), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科1), 横浜市立大学産婦人科2)
【目的】Microwave Endometrial Ablation(以下MEA)は,マイクロ波凝固装置を用いて子宮内膜を基底層まで焼灼・凝固することでその機能を喪失させ,経血量の減量を図る方法である.今回,過多月経に対し子宮摘出術に代わる治療法として行ったMEAの効果とその合併症について検討した.【方法】2002年9月〜2010年6月までに当科でMEAを施行した65症例を,診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】MEAの適応は,過多・長月経63例,月経困難症2例であった.月経困難症単独症例2例はMEAの適応とはならないが,患者の強い希望により施行していた.原因としては子宮腺筋症が29例と最も多かった.治療効果では,過多・長月経症例のうち術後貧血の治療が不要となり自覚的にも改善を認めたのは54例(85.7%)であった.残りの症例では追加治療として4例で鉄剤投与,2例でMEA再施行,2例で子宮摘出が行われた.また,合併症として卵管留膿腫・卵巣膿瘍を併発し子宮及び附属器摘出を行った例を1例経験した.月経困難症症例は2例とも改善を認めなかった.追加治療を必要とした症例では治療成功例に比し子宮腔長が長く,手術時の内膜凝固回数が多い傾向にあったが,個々の症例の検討ではやはり器質的疾患による内腔の拡大・変形が強いものに治療不成功例が多かった.その他,手術時の子宮内膜が厚く凝固不全となったもの,器械の不具合等が原因として推測された.【結論】MEAは過多・長月経に対しては高い治療効果を認める一方で,条件次第では追加治療が必要になる可能性を充分に説明することが重要と考えられた.また月経困難症単独については適応がなく,効果も保障されないため勧めるべきでないと思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
164-164, 2011
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