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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
原因不明大量性器出血に対し子宮動脈塞栓術が奏功した子宮内膜血管瘤の1例
岡崎 隆行, 林 正路, 庄田 亜紀子, 稲葉 不知之, 木内 香織, 茂木 絵美, 香坂 信明, 坂本 尚徳, 渡辺 博, 深澤 一雄, 稲葉 憲之
獨協医科大学医学部産婦人科
大量性器出血は,子宮内の腫瘍や内分泌的異常のほか,稀なものとして子宮動静脈奇形などの血管異常も原因となり,緊急の止血処置が必要になる事がある.今回我々は,大量性器出血に対し子宮動脈塞栓術にて子宮を温存し得た子宮内膜血管瘤の1例を報告する.症例は26歳,未婚,既往歴・家族歴に特記すべき事はなし.以前より過長月経は認めていたが過多月経は認めていなかった.今回,突然の過多月経にて近医受診し,Hb 4.2g/dlの高度の貧血のため濃厚赤血球計12単位輸血およびEP錠服用も止血困難であり,当院へ救急搬送となった.来院時,内診・超音波にて新生児頭大の子宮留血腫を認めた.子宮動静脈奇形を疑い緊急MRIおよび血管造影をおこなったが,著明な子宮留血腫に以外に異常所見はなく,子宮温存を期待し両側子宮動脈塞栓術を施行した.塞栓術後止血傾向となったため子宮鏡検査をおこなったところ子宮内腔に腫瘍性病変は認めなかったものの,左卵管角領域に露出した血管瘤を認め,この部分が責任病巣と考えられた.その後GnRHa4コース施行後に自然に月経再来し,過多月経なく経過している.現在まで子宮内膜血管瘤による大量性器出血の報告はないが,子宮動静脈奇形などを含めた子宮血管の異常は時に著しい出血を来たすため,鑑別診断として念頭に置く必要がある.またこれらは子宮動脈塞栓術による保存療法が有効なことが多く,若年女性においては治療の第1選択として考えるべきである.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
169-169, 2011
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