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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
当院における卵巣出血の管理


角 さち恵, 菊地 真理子, 梶原 健, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学病院産婦人科


緒言:卵巣出血は,緊急手術を要する婦人科疾患の中で異所性妊娠に次いで遭遇する機会が多い疾患であり,「多量の腹腔内出血が疑われ,バイタルサインが不良の場合,あるいは血色素量が急激に低下し出血の持続が疑われる場合は,緊急手術の適応がある」とされているが,根拠となる研究は最近の報告が少ない.今後の管理指針に役立てるために最近当院で経験した卵巣出血例を後方視的に検討した.方法:2006 年1 月〜2010 年12 月に当院で卵巣出血と臨床診断され,入院管理になった非妊娠64 例に対して,その背景,診断,治療,検査所見を電子カルテより検索した.結果:外因,内因を認めた例はなく,全例特発性と考えた.平均年齢は29.3 歳,平均BMI は20.4 と20代〜30 代前半の比較的やせ型に多く,63% が性交後に発症していた.罹患側は超音波検査で,左:右:不明=28:33:3 であった.発症時の月経周期の平均値は24.8 日目で,分泌期後期が多いと考えられ,超音波による子宮内膜の観察からも,月経期:増殖期:分泌期:不明=1:2:49:12 であった.手術は15 例に施行し,平均出血量は804mL であり,3 例に輸血が施行された.適応としては,循環不全(2),腹腔内出血・Hb の急激な低下(11),疼痛コントロール不能(4)であった.初診時採血検査でPT%が手術例で有意な低下を認め,手術施行予知に対するROCでも,ALB,Hb,PT(%)のAUC は,それぞれ0.59,0.64,0.74 とPT%が最も高値を示した.結論:卵巣出血を疑う際,月経周期だけでなく,最終性交の問診も重要である.手術例で初診時PT%の低下があったことから,Hbの急激な低下は出血の持続のみならず,入院後の希釈による可能性もあると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 169-169, 2011


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