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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠36週までの妊娠中体重増加量と妊娠高血圧症候群の発症は関連する
松本 直樹, 長田 まり絵, 深谷 普子, 鈴木 永純, 松本 智恵子, 高橋 幸男
深谷赤十字病院産婦人科
【緒言】日本における妊娠中体重増加量(BWG)の推奨値が厚生労働省より示されている.しかしながら妊娠高血圧症候群(PIH)発症とBWGとの関連についてはcontroversialな報告もみられ未だ明確ではない.【方法】当院で過去3年間に37週以降分娩したPIH66例を対象とした.同期間に37週以降分娩した非PIH例からランダム抽出した330例を対照として後方視的症例対照研究を行った.妊娠前体重,36週時体重の他,各因子を院内分娩データベースとカルテ記録から収集した.妊娠前body mass index(BMI)によりやせ(<18.5),普通(18.5≦,<25),肥満(25≦)を,36週までのBWGによりBWG小(<5kg),中(5≦,<12kg),大(12kg≦)を定義した.各因子とPIH発症との関連について検証した.p<0.05を統計学的有意とした.【成績】PIH群の年齢,分娩週数,妊娠前BMI 36 週までのBWG の平均は32.7 歳,38.9 週,22.6,8.6 kg.PIH 分類は妊娠高血圧60.6%,妊娠高血圧腎症37.9%,加重型1.5%.重症度は軽症60.6%,重症39.4%.PIH 群で新生児体重が有意に小さかったが低出生体重児の頻度に差はなかった.PIH 発症の粗オッズ比(OR)はPIH 既往(経産婦に限定)11(3.2-38(95% 信頼区間,以下同様)),初産1.8(1.06-3.2),やせ0.27(0.09-0.77),肥満3.1(1.6-6.2),BWG 小2.3(1.05-5.2)で,同調整OR は年齢5歳増加1.5(1.05-2.1),初産2.0(1.1-3.6),やせ0.27(0.09-0.82),肥満2.4(1.06-5.4),BWG 大2.1(1.01-4.2)であった.【結論】肥満,BWG 大,初産,高年齢は単独ではPIH 発症に大きな影響は及ぼさないが,因子が重なった場合には注意が必要である.妊娠判明後に管理し得るのはBWG だけであり,過剰な体重増加を予防するような管理は適切である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
170-170, 2011
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