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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
出生前診断された先天性クロール下痢症の同胞例
今田 信哉1), 石川 香織1), 田丸 俊輔1), 小松 篤史1), 堀越 嗣博1), 高木 紀美代1), 菊池 昭彦1), 小木曽 嘉文2)
長野県立こども病院産科1), 長野県立こども病院病理2)
【緒言】先天性クロール下痢症は4万人に1例程度のまれな常染色体劣性遺伝性疾患である.出生直後より多量のクロールが回腸や結腸より便中に失われ,無治療では電解質異常をきたすため,出生前診断が重要である.【症例1】28歳0G0P 既往歴・家族歴に特記すべきことなし.いとこ婚なし.自然妊娠,経過順調であったが,羊水過多と胎児の蜂巣状の腸管拡張像を認め,妊娠25週に当科紹介となった.特徴的な超音波所見より先天性クロール下痢症と出生前診断した.胎児発育は順調で,前医で妊婦検診を受けていたが,妊娠31週に胎動減少を訴え前医受診,NSTでNRFSと診断され緊急帝王切開となり,1620gの女児が出生したが,蘇生に反応せず死産となった.病理解剖でも明らかな死因は特定できなかった.【症例2】1年後に前児と同様の超音波所見にて妊娠25週で当科紹介となり,先天性クロール下痢症と出生前診断.羊水過多症が著明であり,妊娠26週から33週にかけて計4回(1回1000〜2000ml)羊水除去を行った.妊娠30週より児のwell beingを確認するため管理入院とした.羊水過多症の再増悪と前回帝王切開のため,妊娠35週1日に予定帝王切開施行し,2920gの男児が出生.NICUに入院し,電解質補充療法をおこなった結果,電解質異常も認めず,日齢32で退院となった.【結語】今回我々は,同胞発症した先天性クロール下痢症の出生前診断例を経験したが,第1子は死産,第2子は生存と異なる転帰をとった.特徴的超音波画像とともにこれら同胞2例の周産期経過を報告し,本疾患の周産期管理における注意点について考察する.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
172-172, 2011
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