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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
当院における口唇口蓋裂の出生前診断の実際


里見 操緒, 平泉 良枝, 中井 晶子, 菊池 芙美, 小西 真理世, 白銀 恵, 田村 俊之, 三浦 敦, 三宅 秀彦, 鈴木 俊治
葛飾赤十字産院産婦人科


【目的】口唇口蓋裂の発生頻度は日本では500〜700人に1人とされ,日本産婦人科医会先天異常モニタリングによると,心室中隔欠損症に次いで2番目に多い(先天異常全体の約13%)と報告されている.近年胎児超音波診断の進歩によって,口唇口蓋裂の出生前診断が多くなってきた.そこで今回,当院における口唇口蓋裂の出生前診断の現状について後方視的検討を行った.【方法】2006〜2010年の5年間に妊娠22週以降に分娩管理を行った10,562児のうち,口唇口蓋裂が認められた20例(発生率:0.18%)を対象として,その出生前診断の実際や周産期予後等について検討した.【結果】20例の内訳は,口唇裂9例(45%),口蓋裂1例(5%),口唇口蓋裂10例(50%)であった.母体の平均年齢は33±5歳で,35歳以上が7例(35%)であった.初産婦は11例(55%)であった.未受診飛込み分娩1例を除いた19例のうち,口唇口蓋裂の出生前診断が出来たのは13例(68%)で,うち4例は,他院からの紹介例であった.出生前診断を行った妊娠週数は,平均30±5週(range:妊娠20〜38週)であった.合併奇形は4例(20%)に認められたが,その出生前診断が出来ていたのは1例のみであった.2例が妊娠27および34週で子宮内胎児死亡となった.平均分娩週数は38±4週で,男児が11例(55%)を占め,平均出生児体重は2,595±860 gであった.【考察】出生前診断が可能であった症例には,新生児科の協力の下,分娩までに両親が病態を理解し,治療等に対して心の準備をすることが出来る時間を設けられた.一方,約30%の症例に対して出生前診断が出来なかったことから,定期的な超音波スクリーニング検査をより厳重に行うべきであることが推定された.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 172-172, 2011


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