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<< 学会誌へ戻る 緒言；前置胎盤においては癒着胎盤がなくとも術中出血量が多くなることがある．今回，我々は術前に明らかな癒着胎盤は疑われなかったが，前置胎盤4症例にIABOを使用して帝王切開術を施行したので報告する．症例1：41歳．1経妊0経産．数回の筋腫核出術の既往あり．後壁からの全前置胎盤で妊娠37週5日に選択的帝王切開術を施行した．出血量は3900mlで自己血を1200ml返血した．腸管などの癒着がひどく，出血も多くなったためIABO挿入し膣上部切断術を施行した．遮断時間は30分であった．症例2：32歳．1経妊1経産．低置胎盤にて帝王切開術の既往あり．後壁からの全前置胎盤で妊娠36週4日に選択的帝王切開術施行した．胎盤娩出時にIABO挿入した．出血量は1528mlで自己血を700ml返血した．B―lynch縫合を施行した．遮断時間は10分であった．術後軽度のCK上昇を認めた．症例3：44歳．0経妊0経産．顕微授精で妊娠．前壁からの辺縁前置胎盤で妊娠37週3日に選択的帝王切開術を施行した．胎盤娩出時にIABO挿入した．出血量は1030mlで自己血を600ml返血した．遮断時間は8分であった．B―lynch縫合を施行した．症例4：32歳．2経妊2経産．帝王切開とVBACの既往あり．後壁からの辺縁前置胎盤にて妊娠37週0日に選択的帝王切開術を施行した．胎盤娩出時にIABO挿入した．出血量は1340mlで自己血を300ml返血した．遮断時間は10分であった．子宮頚管から出血があり，頚管を縦に数針縫合し止血できた．結語；症例1は出血が増量してからIABO挿入したが，他の3例は術前に挿入していた．いずれの症例においても問題となる合併症は認めなかった．輸血は自己血のみで維持できた．児にも特に問題は認めなかった． 関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 173-173, 2011 |
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