|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
過去3年間の当院における帝王切開の検討
小野 亜希子, 楯 健司, 山地 亜希, 飯塚 美徳
千葉市立海浜病院産科
【緒言】帝王切開は一般産科において最も広く行われている開腹手術であり,その対象年齢は若年層である.この年齢層の患者に対し帝王切開を含め良性疾患での開腹はその後の美容的コンプレックスの一因ともなりうる.しかし小さい創では良好な術野が得られないため,従来10―12cmの正中縦切開での開腹を行っていた.当院では下腹部皮膚横切開・筋膜縦切開(Kuestner incision)に加え,バイポーラーシザースを用いて筋膜から皮下組織を剥離する開腹法での産科手術を2007年12月より導入した.今回は過去3年間当院で施行した帝王切開において皮膚切開の違いを中心にその成績を後方視的にまとめたので報告する.【対象・方法】2007年12月から2010年12月までに当院で施行した帝王切開651症例(単胎513例,双胎134例,品胎4例)を対象とし,手術時間・児娩出までの時間・出血量・児の状態について後方視的に検討した.【結果】帝王切開となった適応は既往帝王切開後および子宮術後妊娠235例,多胎125例,骨盤位85例のほか子宮内胎児発育遅延,前置胎盤,分娩停止,胎児機能不全,常位胎盤早期剥離などであった.皮膚縦切開と比較し皮膚横切開では児娩出までの時間は9.18±3.15分と有意に長かったが,手術時間・出血量・児の状態に有意差はなかった.また有害事象として皮膚穿孔2例,創部離開1例,皮下血腫1例を認めた.【結語】現在当院では既往帝王切開後および子宮術後妊娠と超緊急時は皮膚縦切開とし,その他の症例では皮膚横切開での開腹を選択している.帝王切開・良性疾患での開腹手術が行われている当科では術後創部の美容的観点からの開腹・閉腹法を検討する意義が大きいと考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
175-175, 2011
|