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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
選択的帝王切開術は何週で行うべきか
藤田 裕, 岩本 豪紀, 梅澤 聡, 小林 弥生子, 大田 昌治, 山崎 龍王, 小林 織恵, 勝手 恵理子, 神部 友香理, 岩崎 真一, 野木 才美, 菊池 友美
武蔵野赤十字病院産婦人科
【目的】当院では帝王切開後妊娠や骨盤位妊娠に対する選択的帝王切開術を,妊娠38週前後に行っている.分娩週数による新生児への影響とともに,陣痛発来などによる緊急帝王切開術の可能性も考慮した帝王切開術予定週数を検討した.【方法】当院では2006年から2010年の間に,多胎妊娠や前置・低置胎盤以外の適応にて37週以降での選択的帝王切開術が603件予定された.このうち陣痛発来などにより予定前に緊急帝王切開術となった22件を除く581件を対象として,分娩週数37週0〜3日,37週4〜6日,38週0〜3日,38週4日以降の4群毎に,NICU・GCUへの入院,呼吸障害,高ビリルビン血症の有無について後方視的に検討した.さらに,603件をあらかじめ予定していた週数にて同様に4群に分け,陣痛発来などのため緊急帝王切開術に至った症例を検討した.【成績】NICU・GCU への入院は38 週4 日以降3/67 件(4.5%),38 週0〜3 日32/219 件(14.6%),37 週4〜6 日27/178件(15.2%),37 週0〜3 日23/117 件(19.7%)であり,38 週4 日以降でそれ以前の週数に比べ有意に少なかった(p<0.05).人工換気の必要性などについても同様の傾向が見られた.陣痛発来などのため緊急帝王切開術となった22 件において,母体・新生児に重大な合併症は認めなかった.緊急帝王切開術に変更になった頻度は予定していた週数毎に,38 週4日以降予定7/74 件(9.5%),38 週0〜3 日予定10/229 件(4.4%),37 週4〜6 日予定4/182 件(2.2%),37 週0〜3 日予定1/118 件(0.8%)であった.【結論】分娩週数による新生児への影響のみでなく,陣痛発来などによる緊急帝王切開術の頻度も考慮すると,最適な帝王切開術予定週数は38 週4 日前後であると結論する.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
175-175, 2011
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