|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
当院における既往帝王切開後妊娠1,079例の検討
宮腰 藍衣1), 須江 英子1), 加藤 沙絵1), 山口 瑞穂1), 望月 昭彦1), 倉澤 健太郎1), 田野島 美城1), 青木 茂1), 奥田 美加1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)
【目的】既往帝王切開後の経腟分娩試行(trial of labor after cesarean delivery;TOLAC)は,医療者および患者双方のリスク回避の意識から,取り扱う施設の減少,かつ施設内でのTOLAC件数の減少がみられているが,2010年に米国NIHは,TOLACは合理的な選択肢であるとしている.当院における既往帝王切開後妊娠について検討した.【方法】当院において2000年1月から2010年12月の11年間に妊娠22週以降で分娩した10,138件のうち,既往帝王切開後妊娠1,079例について,TOLAC率,分娩転帰についての年次推移を検討した.妊娠中にTOLACを希望した妊婦のうち,破水後または陣発後にTOLACを試行した妊婦を成功と不成功に分類した.【成績】既往帝王切開後妊婦の割合は,2000年の8.1%から漸増し2008年,2009年は13%,2010年は11%であった.前2回帝切など当院基準でのTOLAC不可例374例(34.7%)を除いたTOLAC可能例から,未受診妊婦など予定外の経腟分娩例を除いた688例におけるTOLAC 222例をみると,2004年までは50%台の妊婦がTOLACを選択していたが,2005年から顕著に減少し始め,2010では12.4%であった.TOLAC成功率は平均すると77.9%であった.TOLACにより発生した母児の重篤な合併症は,児娩出後に子宮破裂の診断にて子宮摘出術を施行した1例(0.45%)のみで母児死亡例はなかった.【結論】TOLAC率は明らかに減少しているが,成功率に変化はみられなかった.TOLACは子宮破裂などのリスクがあるが,十分なインフォームドコンセントのもと適応を慎重に評価し,厳重に周産期管理を行うことで選択可能と考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
176-176, 2011
|