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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
子宮体部漿液性腺癌術前診断の問題点
山上 亘, 進 伸幸, 小林 佑介, 野村 弘行, 片岡 史夫, 平沢 晃, 冨永 英一郎, 阪埜 浩司, 津田 浩史, 青木 大輔, 吉村 𣳾典
慶應義塾大学医学部産婦人科
【目的】子宮体部漿液性腺癌は筋層浸潤が軽微な症例でも子宮外進展を示す症例が多く,予後不良である.子宮体部漿液性腺癌例の術前診断の問題点を明らかにするため後方視的に検討した.【対象と方法】1975年から2010年に当院で治療を行った子宮体癌1206例を対象とした.漿液性腺癌(混合癌を含む)は36例(3.0%)で,他の組織型は,類内膜癌1102例,明細胞腺癌39例,漿液性腺癌36例,癌肉腫23例,粘液性腺癌4例,未分化癌2例であった.【結果】漿液性腺癌例の進行期はI 期27.8%,II 期11.1%,III 期28%,IV 期33% であり,進行癌が61% を占め,類内膜癌の25% と比べ進行例の頻度が有意に高かった.漿液性腺癌の術前の組織型推定の正診率は内膜細胞診で25%,内膜組織診で39%,両者併用でも39% に過ぎず,44% は類内膜癌と診断されていた.免疫組織化学的検索(P 53,ER,PgR)にて漿液性腺癌の共存が確認し得た症例も認められた.術前画像検査における進行期推定は,漿液性腺癌例では所属リンパ節転移の正診率は61% であり,腹腔播種などを含めた子宮外病変の正診率は55% であった.術前Ia 期と推定されていた症例の50% は術後病理診断にて子宮外病変が認められた.【結論】子宮体部漿液性腺癌は術前にその組織型を推定することが困難であり,画像診断における進行期も過小評価される傾向にあった.内膜細胞診または組織診で漿液性腺癌の可能性が考えられる場合は免疫組織化学的検索または術中迅速病理診断により組織型確定に努め,詳細な腹腔内検索,大網切除追加などを行う必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
178-178, 2011
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