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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
傍大動脈リンパ節郭清術後に乳び腹水を認めた1例


木下 孝一, 佐藤 健二, 荒岡 千景, 橋本 志歩, 山田 研二, 宮田 あかね, 吉丸 真澄, 佐藤 卓, 仲村 勝, 小川 真理子, 吉田 丈二, 高松 潔
東京歯科大学市川総合病院産婦人科


乳び腹水は,傍大動脈リンパ節郭清術,腹部放射線照射の合併症としてまれに報告されている.我々は傍大動脈リンパ節郭清術後に乳び腹水を発症した1例を経験したので報告する.症例は62歳,0経妊0経産.不正出血を主訴に当院受診された.腫瘍マーカーはCA125:13.8U/ml.頸部細胞診はNILM.内膜細胞診ではclassV(endometrioid adenocarcinoma)と診断されたが,内膜組織の採取は困難であった.造影MRIでは子宮体部内腔に正常子宮内膜より低信号,筋層より高信号の腫瘤を認め,筋層1/2以上の浸潤を疑う所見であり,両側付属器に明らかな異常所見は認めなかった.子宮体癌を疑い,単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術,骨盤及び傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.最終病理診断は子宮体癌(endometrioid adenocarcinoma),筋層浸潤1/2以上であった.左閉鎖,左傍大動脈にリンパ節転移を認め,FIGO stageIIIcと診断した.術後3日目に常食摂取と同時にドレーンより乳びの流出を認めたため,禁食(9日間),ソマトスタチンアナログ製剤を使用したところ,保存的治療のみで改善を認めた.現在は術後化学療法(TC療法)5回終了し,再発所見は認めない.術後乳び腹水は,乳び槽より頭側のリンパ管に損傷を加えた際に発生しうるとされている.乳び槽は正常解剖では,腹腔動脈から腎動脈の高さに存在すると言われ,ゆえに婦人科領域で行う左腎静脈下のリンパ節郭清では発症することが稀とされている.しかし,乳び腹水の出現は長期入院,食事制限,術後療法の遅れなど患者のQOLを著しく低下させるため,迅速かつ適切な対応をとる必要がある.術後乳び腹水の起因,治療について文献的考察を踏まえ報告する.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 179-179, 2011


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