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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
非産褥期にみられた筋腫分娩による子宮内反症の一例
石田 洋昭, 齋藤 麻由美, 安田 豊, 高島 明子, 矢野 ともね, 竹下 直樹, 木下 俊彦
東邦大学医療センター産婦人科
非産褥期の子宮内反症は極めてまれである.今回子宮底部から発生した子宮筋腫が筋腫分娩したことによって生じた子宮内反症の一例を経験したので報告する.47歳,2経産婦.水様性帯下を主訴に受診.腟内には6cm大の腫瘤が充満しており診察所見から筋腫分娩と診断した.過多月経も認めHb5.8g/dlであったので手術を勧めたが同意が得られず一旦経過観察が行われた.2ヶ月後に全身倦怠感,出血のため再受診.MRI検査施行したところ筋腫は底部から発生し腟内に脱出しており,さらに子宮底部が陥凹していることから筋腫分娩による子宮内反を疑った.Hb4.0g/dlであり,輸血後に同意の元に開腹手術を行った.子宮底部は卵管,円靭帯とともに陥凹していて子宮内反が確認できた.内反の修復を試みたがきつく陥頓していて修復できなかった.そこで,まず後腟円蓋に切開を加え腟内に分娩した筋腫を切除した上で子宮全摘を行ったが,陥頓したままの子宮では通常の子宮に比べて手術が困難であった.術後の病理学的組織検査では子宮平滑筋腫であり,術後経過にも異常はなかった.今回は非産褥期の子宮内反症の診断にはMRIが有効であったが,超音波検査の有効性も報告されている.筋腫分娩に伴う非産褥期の子宮内反症での子宮全摘術は困難であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
184-184, 2011
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