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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術後の多量の性器出血に対し子宮バルーンタンポナーデにて止血し得た1例
近藤 壯, 塩野入 規, 横井 由里子, 塩沢 功
波田総合病院産婦人科
【緒言】子宮筋腫核出術の施行は卵胞期が推奨されているが,やむを得ず月経期に行わなければならない事もある.今回,月経期に腹腔鏡補助下子宮筋腫核手術を行った際に,多量の性器出血を認め子宮バルーンタンポナーデにて止血し得た1例を経験したので報告する.【症例】43歳,未婚,未経妊.近医よりHb3.6g/dlの高度貧血・過多月経にて紹介され,一部粘膜を圧迫する径9cmの筋層内筋腫を認めた.偽閉経療法後,手術方針としたが頻回に内膜の破綻出血を認める為,偽閉経療法を中止したところ手術2日前に月経発来した.手術延期も考慮したが同意を得て腹腔鏡下手術を施行した.子宮筋層は鬱血しており,即小開腹手術に移行した.腹腔内出血1000g以外に性器出血も1000g以上認めたが,メトロイリンテル(50ml)を子宮内に留置したところ速やかな止血効果が見られた.【考案】周産期領域・子宮鏡手術時の子宮バルーンタンポナーデによる止血の報告はされているが通常の手術での報告は我々が調べた限りされていなかった.通常は偽閉経療法後,手術を施行するが粘膜下筋腫では行えず月経期に手術が重なる場合がある.月経期にはprostaglandinがコイル状動脈を攣縮させるため子宮は鬱血しており,細動脈床が開いている為,術中の出血コントロールがしばしば困難である.月経期の手術は避ける方が望ましいが,やむを得ない場合は開腹手術への移行を検討し,且つ子宮バルーンタンポナーデが有効でないことも想定し子宮動脈塞栓術や子宮摘出も考慮した対応が望ましいと考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
186-186, 2011
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