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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
深部静脈血栓症および肺塞栓症を合併した多発子宮筋腫の2例
瑞慶覧 美穂, 中村 学, 小松 浩司郎, 宮本 純孝, 西村 俊信, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
近年,巨大子宮筋腫の骨盤内血管圧迫に起因する深部静脈血栓症(以下DVT)や肺塞栓症が多数報告されている.今回我々はDVTや肺塞栓症を合併した子宮筋腫を2例経験したので報告する.【症例1】55才3経産:数年前より子宮筋腫を指摘されるも婦人科受診せず.階段歩行時の息切れと右下腿浮腫を主訴に近医受診.心室性期外収縮およびHb5.8g/dlと貧血を認め当院紹介.MRIにて径7cm大を最大とする多発子宮筋腫あり,GnRh Analogue療法施行後に手術予定となる.手術7ヶ月前に前医にてD―dimer 4.2μg/mlと異常あり,精査にてDVTと診断されワーファリン内服開始.CTや肺血流シンチにて肺塞栓症も診断された.手術4日前にワーファリン内服をヘパリン療法に変更,手術当日下大静脈一時フィルターを留置し,開腹単純子宮全摘術を施行,良好な術後経過を得た.【症例2】40才0経産:1年前より右下腹部腫瘤自覚するも婦人科受診せず.全身倦怠感,呼吸苦のため当院に救急搬送.CTにて肺塞栓症と長径20cm大の下大静脈を圧迫する巨大子宮筋腫,右内腸骨DVTを指摘.ヘパリン治療開始するも副作用のためワーファリンに変更.半年間GnRh Analogue療法施行.本人より筋腫核出希望あり.手術5日前にワーファリン内服中止.弾性ストッキングで血栓予防を行い筋腫核出術を施行.計25個の筋腫を核出.術後はワーファリン内服再開.明らかな血栓症発症なく経過良好である.【結語】今回我々はDVTと肺塞栓症を合併した子宮筋腫を2例経験した.特に症例2では周術期のヘパリンへの変更が不可能であったため,より慎重な管理を要したが,幸い血栓症の再発なく治療を終了することができた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
187-187, 2011
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